宿泊先に用意されている、シャンプー類や石鹸、歯ブラシ、かみそり、クシ、使い切りの化粧品などのアメニティグッズが大ピンチである。
化粧品大手の資生堂がホテルなどの宿泊施設向けに提供していたアメニティ事業から完全に撤退した影響はアメニティ業界に半年が経った今も混乱をもたらしている。
アメニティ業界は価格競争が激しく、ビジネスホテルやシティホテルで扱うアメニティグッズは資生堂とポーラがシェアを争っていた。特に資生堂は高価格帯から低価格帯までの多様な製品を扱っており、品質も良くて安いと評判だった。ではなぜ大きなシェアを占める資生堂が撤退を余儀なくされたのか。
アメニティは薄利多売の業界で、資生堂はほとんどの宿泊施設に直接納品していた。昨今の物流費の高騰でさらに利益が取れなくなり、将来の成長が見込めないと判断したため撤退を決断したのだろうと業界関係者は話した。
他のメーカーがいくら頑張っても、資生堂が抜けた市場は、半分程度しかカバーできないという。長引く大混乱の解決策はいまだに見えてこない。